【執筆者:管理栄養士 上月典子】
ねこぶだしの過剰摂取は、塩分過多で高血圧や腎機能の低下などの可能性があり、体に悪いデメリットをいわれることがありますが、適切な使い方をすれば過度な心配はいりません。
この記事では気になる原材料や添加物、塩分量のほかに「濃縮タイプの万能調味料」としてのメリットについての情報もお届けします。
ねこぶだしのこと
- 原材料や塩分量と塩分比較
- 食品添加物の役わりや安全性
- ヨウ素の特徴やはたらき
- 万能調味料のメリットやレシピ
ねこぶだしを使ったアレンジレシピもあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね♪
目次
ねこぶだしが体に悪いとされる理由|過剰摂取は塩分過多に
ねこぶだしは、昆布のうま味を活かした凝縮タイプのだし調味料です。
過剰摂取の場合は、高血圧や腎機能の低下などの可能性があるため体に悪いといわれることがありますが、適量であれば問題ありません。
高血圧 生活習慣病 腎機能の低下 |
塩分の過剰摂取 |
---|---|
添加物 | 体への悪影響 (安全性は確認されている) |
甲状腺機能低下 甲状腺浮腫 |
ヨウ素の過剰摂取 (ほぼ心配なし) |
原材料には何が入っているのかみてみましょう。
原材料には何が入っている?カロリーや添加物・塩分の含有量は
ねこぶだしは天然の天日干しされた日高昆布が使われ、昆布だし汁以外にも根昆布をミキサーで細かく砕いたものに、かつお節エキスなども合わせた便利な調味料ですね。
ボトルに記載されている原材料はこのようになります。
昆布エキス | 根昆布 | かつお節エキス |
食塩 | 調味料(アミノ酸等) | 増粘多糖類 |
原材料の一部に大豆を含むという記載は、製造過程や調味料に一部含まれているという意味で、醤油が含まれているわけではなく塩味ベースとなっています。
原材料や大豆にアレルギーがある人は注意してくださいね。
ねこぶだしは、公式サイトやAmazonなどの通販で購入できますよ。
調味料(アミノ酸等)と増粘多糖類という記載がありますが、食品添加物の役わりや特徴を知っておくことも大切ですね。
食品添加物の役わりと種類や特徴|安全性の定義
食品添加物には4つの役わりがあるといわれています。
- 食中毒の危険性や酸化・変色を防ぎ安全性を保つ
- 香料・調味料などで香りや味を高める
- 食感や風味をプラスする
- ビタミンやミネラル・アミノ酸など加え栄養を高める
また、健康維持や介護食・フードロスや備蓄・安定的に供給するなどの目的として社会的役わりもありますね。
ねこぶだしに表示されて食品添加物には、次のような種類と特徴があります。
「調味料」は4つのグループがあり、かっこ書きでグループ名を、2種類以上使用した場合は原材料に「等」を表示するルールになっています。
「増粘多糖類」は高い粘度をもつ水溶性の多糖類で、歯ごたえ・舌触り・喉ごし・とろみ付けなどに使われます。
表示 | 添加物例 | |
---|---|---|
調味料 | アミノ酸等 | ・L-グルタミン酸ナトリウム ・L-アラニンなど |
核酸等 | ・5′-イノシン酸二ナトリウム ・5′-グアニル酸二など |
|
有機酸等 | ・クエン酸カルシウム ・グルコン酸カリウムなど |
|
無機酸等 | ・塩化カリウム ・リン酸三カリウムなど |
|
増粘多糖類 | ・キサンタンガム ・グァーガム ・カラギナン ・ペクチンなど |
食品添加物は約1500種類あり、食品安全委員会でリスク評価をおこない、許容1日摂取量(ADI)が設定されて厚生労働省が使用を認めているものです。(※2)
人が一生涯にわたり毎日摂取し続けても、健康への悪影響がないと考えられる1日あたりの食品添加物の摂取量のことで、食品添加物はADIを超えないよう基準が定められています。
ねこぶだしも適量であれば、健康を害するような心配はないということがわかりますね。
また「無添加」や「不使用」という表示の商品にも添加物が含まれていることが多く消費者に誤解を与えるとして、消費者庁は 令和4年3月に食品添加物の不使用表示に関してのガイドライン を発表しています。(※3)
濃縮タイプのだし調味料であるねこぶだしを、上手に使って塩分を調整しましょう。
醤油や味噌などとの塩分比較と上手な使い方
ねこぶだしとほかの調味料の塩分量を比較するとこのようになります。
100gあたり | 大さじ (15gあたり) |
小さじ (5gあたり) |
|
---|---|---|---|
ねこぶだし | 12.7g | 1.9g | 0.6g |
濃い口醤油 | 14.5g | 2.1g | 0.7g |
薄口醤油 | 16g | 2.4g | 0.8g |
味噌 | 12.4g | 1.9g | 0.6g |
だし醤油 | 7.3g | 1.1g | 0.4g |
めんつゆ 濃縮タイプ |
9.9g | 1.5g | 0.5g |
塩分の摂り過ぎは、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病から心筋梗塞・脳梗塞、腎機能の低下などのリスクを高めるおそれもあるので、適量を意識することが大切ですね。
塩分量は醤油よりは低いですが、ねこぶだしとほかの調味料と併用した場合は過剰摂取になることもあるので、合わせる調味料の量を調節しましょう。
ねこぶだしは塩味ベースなので塩の追加は必要なく、昆布や鰹節のうま味が味を引き立ててくれますよ。
日本人の食塩摂取目標量は厚生労働省で定められています。
- 男性成人:7.5g未満
- 女性成人:6.5g未満
日本人の食塩摂取量はすでにオーバーしているので、1日の摂取量には気をつけてくださいね。
余分な塩分(ナトリウム)を排出するはたらきがあるカリウムの豊富な野菜やきのこなどと一緒に摂るのも良いですね。
また、ねこぶだしの使われている昆布にはヨウ素が豊富に含まれています。
昆布に含まれるヨウ素が体にもたらす影響やはたらき
ねこぶだしは日高昆布の根昆布といわれる根元も使われており、ヨウ素を多く含む部分でもあります。
ヨウ素は甲状腺ホルモンを構成する成分になり、成長やエネルギー代謝に重要な役わりをもっています。
- 成人男女:130μg
- 妊婦:110μg 授乳婦:140 μg
ヨウ素が含まれる食品
昆布 わかめ ひじき 松前漬け だし巻き卵 しめざば など
過剰摂取で甲状腺機能低下や甲状腺浮腫などの可能性もありますが、健康な人であれば余剰分は尿から排出されるといわれているので、調味料として適量の使用は大きな心配はないでしょう。
ねこぶだしは、うれしいメリットも期待できますよ。
ねこぶだしの体に良い栄養成分|万能調味料のうれしいメリット
ねこぶだしに使われている昆布には、さまざまな栄養成分があります。
ヨウ素 | 甲状腺ホルモンの構成成分になる |
---|---|
カルシウム | 歯や骨を形成する |
カリウム | ・浸透圧の調整 ・ナトリウムの排泄を促す |
水溶性食物繊維 (アルギン酸や フコイダン) |
腸内細菌を増やし 便をやわらかくする |
万能調味料であるねこぶだしは、使い勝手がよく日常においてもメリットが多くありますね。
- 手間がかからない手軽さ
- 調整しやすく味が決まりやすい
- 時短になる など
簡単でさまざまなアレンジができますよ。
活用法やアレンジレシピ|ナトリウムとカリウムをバランスよく
公式ホームページにもたくさんのレシピが掲載されていますね。
- 浅漬け
- 煮物全般や汁物
- だし巻き卵や卵かけご飯
- 和風パスタやうどんなど
ちょい足しやドレッシングにも良いですね。
ちょうどサラダがあったので、さっきRTした叙々苑風ドレッシングとやらをさらにアレンジして試してみた。サラダ油の代わりにオリーブオイル、味の素の代わりにねこぶだし。これもう市販のドレッシングいらないやつだw pic.twitter.com/OxzmC2eWpx
— 秋吉 健 (@bari5) April 13, 2019
カリウムが豊富なきのこの炊き込みご飯もおすすめです♪
炊き込みごはん
材料
米:2合
お好みのきのこ:約120g
人参・ごぼう:20gずつ
油あげ:1枚
☆水:480cc
☆ねこぶだし:大さじ2
☆醤油:大さじ1
☆みりん・酒:大さじ1ずつ
- 米を洗い30分ほど水につけて吸水させ、ザルにあげる
- ごぼうはささがきにして水にさらし、人参・油揚げは短冊切り、きのこ類はほぐしておく
- 米に☆の調味料を加え②を入れて炊く(炊飯器でも土鍋でもOK)
お米は醤油や塩などの調味料を入れた水では、浸透圧が高く吸水できないので気をつけましょう。
「ねこぶみそ」もありますよ。
万能調味料で使い勝手が良いねこぶだしを活用してみてくださいね。
そのほかのだしについてはこちらの記事が役立ちます。
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結論|ねこぶだしは適量を上手に使えば体に悪いわけではない
- 摂り過ぎると塩分の過剰摂取の可能性がある
- 原料には日高昆布の根昆布や鰹節も使われている
- 食品添加物は国の基準で安全性が確保されている
- 濃縮タイプなのでほかの調味料と併用する場合は控えめに
- 健康体であればヨウ素の余剰分は体外へ排出される
ねこぶだしは適量なら体に悪いわけではなく、濃縮タイプの万能調味料として手軽に使えメリットも多くあります。
昆布のうま味が活かされ、味が決まりやすく時短にもなるので上手に活用してみてくださいね。