【執筆者:編集部 宇野山萌】
AC100Vとは電流の向きと電圧の大きさが常に切り替わる交流電流で、それに対してDCは一定な直流電流ですが、実はどちらも身近に存在しています。
家庭用コンセントからはAC100Vが供給されていますが、電池やバッテリーはDC電流、さらに家電を動かす際にも多くの場合交流から直流に変圧されているからです。
家電の仕様書やパンフレットでは、ほかにも単相・三相という単語や100V/200Vと電圧の差も見られ、意味が分からないと不安なので電源周りで身近にある単語の意味を次のようにまとめて解説します。
AC100Vのこと
- AC100VとDC100Vの意味や違い・家電での使われ方
- 単相と三相の違い
- AC100Vと200Vの違い
- 電圧の差で電気代は変わるのか
イメージしやすいように単語の意味だけでなく実際にどのような使い方をされるのか、どんな家電があるのかなどの具体例も示します。
まずはAC電流とDC電流の違いを確認しましょう。
目次
電源のAC100VとDC100Vとは交流・直流の違い
電源のACとDCは交流と直流を意味し、特徴や使われる場所が異なります。
特徴 | 使われる場面 | |
---|---|---|
AC電流 (交流) |
・電流の向き、 電圧が常に入れ替わる ・電圧の変更が簡単 |
・送電線 ・家庭用コンセント |
DC電流 (直流) |
・電流の向き、 電圧が一定 ・蓄電できる |
・乾電池 ・バッテリー ・太陽光発電 |
どちらかが優れているというわけではなく、それぞれの特徴を生かして使われています。
ACとDCの意味とメリット・デメリット
電気のプラスとマイナスが一定間隔で波のように入れ替わるAC(交流)電流に対し、DC(直流)電流は同じ方向に安定して流れます。
こちらの動画でもとてもコンパクトに解説されていますよ。
流れ方の違いにより、それぞれメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
AC (交流) |
・電圧を変えやすい ・プラスマイナスを 気にしなくていい ・電流を遮断しやすい |
・電力に無駄が生じる ・電圧が安定しない |
DC (直流) |
・電力の無駄が少ない ・蓄電できる |
・電流の遮断が難しい ・電圧を変えにくい ・つなぐ向きが 決まっている |
DC電流は電流の向きも勢いも一定なのでそのままストレートに力に変えられますが、常に流れているので遮断が難しく、高電圧では火花の発生や感電のリスクがあります。
また、プラスマイナスも決まっているので接続時に向きを考えなければなりません。
それに対してAC電流はプラスマイナスが替わるときに電圧が0になるので、比較的安全に電流を遮断でき、つなぐ向きを気にせず使えます。
【DCよりACの方が無駄が生じる理由】
DCは100Vが一定で流れているのでそのままパワーとなりますが、ACは入れ替わるので目標値を得るためにはそれより高い電圧を流さなければなりません。
細かい計算は割愛しますが、AC100Vを必要とする場合最大で141Vの電圧を流す必要があります。
• 交流は正弦波であり、100に対し√2倍(141の値)で絶縁など、設備機器の設計・運用を行う必要がある。
• 直流は、交流のような交番がなく、基本的には、同一方向の値をとり、交流よりも有利な条件で、設備機器の設計・運用ができる。
より効率よく電力を運用できるのはDCなので、家庭用コンセントから直流電流が供給されればいいと感じますが、そうではありません。
コンセントから交流が供給⇒家電内で直流に変換されることが多い
発電所で作られた電気は、効率の良さと損失の少なさから交流電流で送電線を通り家庭用コンセントに供給されます。
- 効率がいい:電圧を変えやすいため各地の変電所で変圧でき、高電圧で送電できる
- 損失が少ない:送電時の電流値が大きいほど熱が発生して損失する⇒高電圧で送れると電流値が小さくで済む⇒熱が発生せず損失が少ない
電力と電流・電圧の関係(※2)
電力=電流×電圧 という関係です。
そのため、同じ電力を発生させるために、大きな電圧をかければ電流は小さく済み、電圧が小さければ電流がたくさん必要となります。
通常家庭用コンセントからはAC100Vの電流が供給されていますが、多くの家電は内部に変換システムを搭載し、DC電流に変えて機器を動かしています。
スマートフォンやパソコンのような軽量さやコンパクトさが求められる機器は、内部ではなくACアダプターでDC5VやDC24Vに変圧するものが多いですね。
海外では供給される電圧が違うので旅行の際は変圧器が必要です。
詳しくはこちらの記事で確認してくださいね。
同時にこの記事も読まれています
大型家電を見るとAC・DCのほかに「単相」と「三相」という言葉が出てきて不安になることがあるので、こちらも確認しましょう。
単相AC100Vと三相200Vの違いとは|使用事例も紹介
単相と三相はどちらも交流電流ですが、電流の波の数が違います。
単相が1本なのに対し、三相は等間隔に3本重ねるような構造なので、より多くの電気を送れるのが特徴です。
単相 | ・家庭用コンセントから供給される ・低電圧で比較的安全 ・100V、200Vがある |
---|---|
三相 | ・電気が流れていない時間が短い ・効率よく電気を送れる ・高電圧でリスクが高い ・コンセントが3本 ・200Vのみ |
三相は一般家庭ではあまり目にする機会が少ないでしょう。
単相100Vは家庭で・三相200Vは電力を多く使う工場で利用
単相100Vは一般家庭で使われていますが、三相200Vは強い電力が必要な工場や業務用電化製品で使われています。
使われる場所・使用例 | |
---|---|
単相 | ・家庭用コンセント ・一般的な家電製品 |
三相 | ・工場、オフィス関係 ・工場機械、モーター、ポンプ ・業務用大型冷蔵庫、エアコン |
三相は送電できる量が多くパワフルなので大きな機械を動かせますが、単相とはコンセントの形状も契約電力も異なります。
家庭用の従量電灯プランと比べ、基本料金は高く電力量ごとの料金は安いです。単相より効率よく電力を送れるからですね。
三相は200Vだけですが、単相には100Vと200Vの2種類があるのも特徴です。
AC100/200Vの違いとは|消費電力の違いも解説
AC200Vは100Vと比べて2倍の力で電気を押し出せ、より力強く電化製品を動かせます。
- パワフルに電化製品を動かせる
- コンセント引き込みの工事が必要
- プラグインハイブリッド車の充電コンセントはAC200Vが基本
- コンセントの形状が異なる
- 200V対応の家電は高額
一般家庭用でもエアコンのような大型家電には、200V仕様がラインナップされている製品もありますが、コンセントの形状が異なるので工事が必要です。
購入の際は注意してください。
電圧が2倍になると電気代も増えるように感じますが、実はそうではありません。
ワット数が同じ家電なら100Vでも200Vでも電気代は同じ
100V仕様と200V仕様では電気代が倍になりそうですが、電気代は消費電力(ワット数)で決まるので、電圧が変わっても左右されません。
消費電力(W ワット)=電流(A アンペア)×電圧(V ボルト)の関係です。
【消費電力1,000Wの家電の場合】
・100Vで動かすためには電流は10A
・200Vで動かすためには電流は5A
電流値が変わり同じ消費電力となるので、電気代は変わらない。
初期費用がかかることは加味しなければなりませんが、同じ電気代でパワフルな家電を使えます。
大型家電購入の際は検討してくださいね。
結論|AC100Vとは供給される交流電流・安定しているのは直流DC
- 家庭用コンセントからはAC100Vが供給されている
- 直流に変圧して動く家電が多い
- 三相はパワフルなので工場で使われることが多い
- 電圧が違っても消費電力が同じなら電気代も同じ
- 100/200V両方の仕様がある家電も
AC100Vは向きや強さが切り替わる交流電流でコンセントから供給され、DCはパワーが一定な直流電流で電化製品を動かすほか、乾電池やバッテリーに蓄電できるのも大きな特徴です。
多くの家電はコンセントからAC電流を取り入れ、内部の変換器やACアダプターでDC電流に変圧して動いています。
一般的なAC電流である単相の電流の波を3倍にした三相は、一般家庭より工場やオフィスで使われていますが、電圧が倍になる単相AC200V仕様の家電はあります。
消費電力が同じなら電気代は変わりませんが、使うためには工事が必要になる場合があるので、よく考えて間違いなく家電を選んでくださいね。