感染症や災害の影響でアルコール系の消毒アイテムが全く買えない状況になるのは、珍しくありません。
品薄になってきたのを察知して買いだめすればいいのかもしれませんが、大抵は危機感を感じたときには売り切れになっているんですよね。
アルコール消毒液が全く買えない状況になった場合の代用品があるのかを、詳しく調査してみました！
- アルコール（エタノール）消毒液の代わりを一覧で紹介
- 皮膚に使えるアルコールの使い方や注意点などを紹介
- 皮膚に使えないアルコールの危険性などを紹介
- アルコール以外で手指に使える次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違い
- 次亜塩素酸水の使い方と注意点
- 安心して使える市販の次亜塩素酸水を紹介
市販のアルコール関連商品の用途は幅広いですが、「アルコール（エタノール）」と名前がついている商品なら、全部手指に使っても良いのでしょうか？
例えば主に掃除に活用する「無水エタノール」、アルコール度数96度のウォッカ「スピリタス」、燃料として使われる「バイオエタノール」などがありますよね。
「アルコール」ではありませんが、「オキシドール」はケガをした部位の消毒に使うので、手指にも使える？と疑問です。
消毒用のアルコールが手に入らなくても困らないように解決策を時間をかけて調査しました。この記事が少しでもお役に立てると幸いです。
目次
アルコール消毒液が売り切れで買えない！手指消毒用エタノールの代わり一覧
感染症のウィルスや不衛生な場所にいる菌は、主に目・鼻・口から私達の体に入り込みます。
目・鼻・口に触れる手指の消毒は、健康を守るために重要な行動の1つです。
それなのに、手指用のアルコール消毒液が買えない！という場合は、他の薬品で代用できるのでしょうか？
手指消毒用として販売されているアルコール（エタノール）消毒液の代わりを、ご紹介していきます。
ちなみに… 「エタノール」は「アルコール」の一種
一般的にアルコールといえば、エタノールのことを指すことが多いです。「アルコール」は、エタノールを含めたアルコール類の総称です。
・エタノール：国際化学命名法の呼び名
・エチルアルコール：エタノールの慣用名
・酒精：エタノールの日本名
（中部経済産業局の公式サイトより）
＊こちらの記事では、エタノールを「アルコール」と表記してご紹介していきます。
手指消毒用アルコールの代用品一覧
まずは、これからご紹介していく薬品が手指消毒用アルコールの代用になるかどうかを、一覧表でご紹介します。
一覧表の後に、知っておいて頂きたい注意点や危険性などを解説していくので、ぜひご確認下さい！
| 薬品名 | 代用できる？ | 備考 |
| 無水エタノール | ○ | 注意点アリ |
| スピリタス | ○ | |
| バイオエタノール | ○ | |
| 除菌アルコール78 | × | ー |
| メタノール（工業用アルコール・燃料用アルコール） | × | |
| 〜番外編〜 | ||
| オキシドール | × | ー |
では、それぞれの薬品について詳しく解説していきます。
皮膚に使える！アルコール消毒液の代用アルコール商品
通常はお掃除用に使われているアルコール商品でも、薄めるなど工夫をすると手指に使えるものがあります！
無水エタノール
無水エタノールを販売している健栄製薬のホームページによると、無水エタノールと消毒用アルコールの違いはアルコール濃度です。
- 無水エタノール：99.5vol%以上
- 消毒用アルコール：76.9~81.4vol%
＊vol%とは、アルコール濃度を表す単位です。
健栄製薬のホームページには、濃度を調整すれば手指に使ってもOKと公表されていました。
濃度100％に近い無水エタノールを濃度70％台に調整するために、下記の割合で薄めて下さい！
無水エタノール4：精製水1
例）無水エタノール100ml：精製水25ｍl
アルコール濃度が高い無水エタノールは、取り扱いに注意が必要です。下記の点を守って、安全に薄めましょう。
- 火の近くで作業をしない。静電気にも注意（引火の危険性があります。保管にもご注意下さい）
- 換気をしながら作業をする（空気に触れるとすぐに蒸発し、吸い込むと具合が悪くなります）
- ゴム手袋を必ず着用（皮膚に触れると水分が奪われて肌荒れをおこします）
- 眼に入らないように注意
万が一子供が飲み込んだりしないように、保管にも十分にご注意下さいね！
健栄製薬の無水エタノールは医薬部外品ですが感染症が流行ると入手困難になると思います。
以下の「ガレージ・ゼロ」は工業用ですが、医薬部外品の無水エタノールの代用としても使えるので参考にしてください。
無水エタノールを薄めるときは、水道水などではなく↓こちらの商品ような精製水を使います。
スピリタス（ウオッカ）
アルコール度数96度の割って飲むお酒です。「アルコール消毒液が品薄なのでスピリタスを消毒に使った」という口コミを、多数発見しました。
2020年3月30日に、厚生労働省から下記のような内容の文章も配布されています。
あくまでも特例ですが、医療機関等でやむをえない場合のみ、高濃度エタノールを消毒用アルコールの代用にできる。
高濃度エタノールの具体的な商品名は公表されていませんが、医療機関が申請すると、「アルコール事業法」という法律で定められている特定アルコールの配布を、国が検討してくれるとのことです。
「アルコール事業法」で定められている特定アルコールとは？
「アルコール事業法」では、アルコール度数90度以上のものを「アルコール」としています。
特定アルコールとは、経済産業大臣の許可を受けたアルコール製造者や輸入者が販売するアルコールのことを指しています。
スピリタスのアルコール度数は96度なので、ご紹介した特例に該当する可能性がありますよね！
ただし、ご紹介した特例は医療関係者向けの文章です。
スピリタスのようなアルコール濃度の商品は、元々下記の理由で「手指には使えない」とされるのが一般的なので、危険性も知っておいて頂けると幸いです。
通常は手指に使えないと言われている理由
- 元々手指消毒用に製造されていない
- アルコール以外の成分が皮膚に与える影響がわからない
- 知識のない人がそのまま使うと肌荒れ、引火などの危険性がある
非常時にはご紹介したような特例が出されることもありますが、安全な使用方法・保存方法を確認してから使うかどうかを判断しましょう！
＊使用や保存の注意点については健栄製薬のホームページで紹介されている「無水エタノールの取り扱い注意点」と同様です。参考になさってみて下さい。
バイオエタノール
専門家などから手指に使ってOKという明確な情報が無いものの、「実際に消毒液として手指や物の消毒に使っている」という口コミがあります。
スピリタスと同じく最終判断は自分ですることになりますが、消毒液として使える可能性があるのでご紹介します。
ご注意頂きたい点は、下記のとおりです。
- メタノールが含まれていたら消毒液としては使えない！
- どれくらいの消毒効果があるかわからない
- アルコール濃度が高い商品なら、薄める必要がある
- 無水エタノールを使うときと同様に、取り扱いと保存に注意が必要
- 原料が作物ではない可能性がある
バイオエタノールはトウモロコシなどの発酵アルコールから抽出したアルコールとして有名ですが、他にも廃材・倒れた木・動物の糞なども原料とされる場合があって、皮膚への影響に関する専門的な情報はありません。
やむをえずバイオエタノールを消毒液として使う場合でも、肌荒れ・めまいなどの異常を感じたら、すぐに使うのをやめて下さいね。
皮膚に使えない！注意が必要なアルコール製品
「アルコール」という言葉が商品名に入っていても皮膚に使うと危険な薬品があるので、しっかり確認していきましょう！
除菌アルコール78
業務スーパーでしか販売されていない商品で、主な用途は食品の除菌です。
除菌アルコール78を製造販売しているサイトウ商事のホームページには、「手指には使えません」と明言されています。
手指に使えない理由
- 商品の目的が除菌であって、消毒ではないから
- 手指に少しかかる程度なら大丈夫だが、しっかりかけると皮膚が荒れる危険性があるから
メタノール（工業用アルコール・燃料用アルコール）
先程も登場した健栄製薬が販売しているアルコールで、成分はメタノールです。
エタノールと名前が似ていますが、メタノール（別名：メチルアルコール）は、主に燃料用アルコールです。
メタノールが体に入ると下記の危険性があります！
- 眼に入ると強い刺激。失明の危険性もある
- 蒸気を吸い込むと中枢神経や呼吸器への毒性がある
- 飲みこむと生殖機能や胎児へ悪影響 など
商品の成分を確認して「メタノール」が含まれていたら、絶対に消毒液として使わないで下さいね。
〜番外編〜傷口消毒のオキシドールに手指の消毒効果はあるの？
オキシドール（過酸化水素）は消毒する力が弱い上に眼に強い刺激があるため、意識せずに顔に触れることが多い手指の消毒には向きません。
＊消毒する力が弱い点については、健栄製薬のホームページに明記されています。
ただしケガをしたときなどには活用できる薬品なので、家庭での主な用途をご紹介します。
- 傷口の汚れや菌を浮かせて取り除きやすくする（粘膜や血液に触れると泡立つ性質のため）
- 10倍希釈で口の中の洗浄
消毒用アルコールを運良く見つけると買いだめしたくなりますが、実はアルコール関連商品には使用期限があります。
使用期限が切れても使えるのか、開封後はどれくらいの期間使えるのかなど、こちらの記事で詳しく確認なさってみて下さい！
↓↓↓
消毒用アルコールの使用期限｜開封後や期限切れはいつまで使える？
アルコール消毒液がない場合に、他のアルコール商品で代用できるのかについて詳しく解説してきました。
次に、アルコール以外にも範囲を広げて手指の消毒ができる薬品をご紹介します。
TVなどでも話題になることが多い次亜塩素酸水を使うときの注意点などを、ご一緒に確認しましょう！
アルコール以外では次亜塩素酸水がおすすめ！その使い方や注意点を解説
「塩素系漂白剤を希釈すれば（薄めれば）消毒液になる」という情報を聞いたことがある方は多いと思います。
ここで、塩素系漂白剤を希釈して作れるのは「次亜塩素酸ナトリウム液」で、手指には使えないという点に注意が必要です！
手指に使える「次亜塩素酸水」は塩素系漂白剤を希釈しても作れないですし、作り方を間違うと有毒ガス発生などの危険性があります。
科学の知識がある専門家以外が自作するのはおすすめできないので、こちらでは下記の点をご紹介していきます。
「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム液」の違いとは？
「次亜塩素酸水」は酸性、「次亜塩素酸ナトリウム液」はアルカリ性という点が大きな違いです。
特徴に合わせた用途に使う必要があるので、それぞれご紹介します。
次亜塩素酸水とは？
次亜塩素酸水とは、食塩水や塩素を分解して得られる次亜塩素酸を使った液のことです。
厚生労働省のホームページによると雑菌やウィルスを殺菌する効果があるので、主に食中毒予防のために、飲食店などで食品の殺菌に使われています。
「次亜塩素酸水は酸性」と聞くと硫酸など危険性の高い薬物をイメージしがちですが、市販の次亜塩素酸水は、触れたり口から入ったりしても大丈夫なpHに調整されています。
科学の専門的な知識があり専用の機械がある場合以外はpHの調整などが難しいため、自作するのはおすすめしないとご紹介しました。
次亜塩素酸ナトリウムとは？
「次亜塩素酸ナトリウム」は塩素系漂白剤の主成分です。
成分が分解しやすい特徴があるので、市販の塩素系漂白剤はpHを強アルカリ性に調整して成分を安定させています。
強アルカリ性のおかげで雑菌やウィルスへの強い殺菌効果がある一方、皮膚とは全く合わない刺激の強い薬品なので、薄めて「次亜塩素酸ナトリウム液」を作っても、手指には使えません。
経済産業省のホームページに次亜塩素酸ナトリウム液の作り方が紹介されています。しかしながら、次亜塩素酸ナトリウム液を酢、クエン酸などの酸性の強い物質と一緒に使用すると有毒な塩素ガスが発生し、死に至る危険性があります。
換気や使用量を守り、十分注意して使用する必要があります。
次亜塩素酸ナトリウムを作るときの注意点
- 換気をしながら作る
- はじめに規定量の水を用意し、水に次亜塩素酸ナトリウムを入れる（作業を逆にすると有毒ガス発生の危険性アリ）
- 服についたら、必ず水で十分に薄める（薄めないで爆発した事例アリ）
- 粘膜や皮膚に触れないように注意（失明、激しい痛みなどの危険性アリ）
- 酸性溶液と絶対に混ぜない（混ぜると有毒ガス発生の危険性アリ）
市販の次亜塩素酸水の使い方＆注意点
次亜塩素酸水の特徴は、分解されて水になりやすい点です。
一般向けに販売できる次亜塩素酸水の成分では、万が一少量を飲み込んだとしても体に影響が出ないのが一般的と言われるほどなので、安心ですね。
＊塩素アレルギー（消毒薬アレルギー）の方は体に影響が出る危険性があるので、飲み込むのはもちろん使用も避けて下さいね。
でも、使い方によっては分解されてしまい効果が出ないなんていう可能性もあります。
次亜塩素酸水を手指消毒に使う方法と注意点を、一緒にご紹介します！
- 製造年月日から3ヶ月以内に使い切る
- 手指を洗って汚れを落としてから使う（油がついた手指に使うなどの場合は成分が分解されてしまい、効果がありません）
- 直射日光を避けて、冷暗所で保存する
紫外線でも分解されてしまうので、遮光性がある容器に入った商品を選んで下さいね！
手指・食品・物に直接吹きかける以外に、加湿器に入れて空間を消毒するなどの活用方法もありますので、ぜひ幅広く活用してみて下さい。
＊食品に使う場合については、厚生労働省のホームページに「水洗いをして汚れを落とした食品に吹きかけ、食べる前や調理前にも水で洗う必要がある」と記載されていました。
次亜塩素酸水を吹きかけてから5秒〜15秒ほど（次亜塩素酸水の濃度のよる）で食中毒の原因になる菌を殺菌できるので、少し待ってからすぐに水洗いしましょう！
アルコール消毒液の代わりに！市販の次亜塩素酸水を紹介
感染症が流行しているときは、お店をまわって商品を探すのも避けたいので、通販で購入できる次亜塩素酸水の市販品を、いくつかご紹介します。
目や口に入っても大丈夫！優しい次亜塩素酸水「カンファペット」
カンファペットは、もともと人間用（業務用）の次亜塩素酸水をペットが使用しても問題ないように改良した消臭・除菌用の衛生水であり、アルコールに弱い赤ちゃんにも使用できるようです。
大手企業を含む500社以上で採用されている技術を使っていて、第三者機関で人間やペットの粘膜や皮膚への安全性を確認済みなど、複数の安心材料を持っている商品です。
濃度調整する必要もありませんので、初めて次亜塩素酸水を使う方でも、品質の心配をせずに利用できそうです。
初めて購入するときには、詰め替え用が1本プレゼントされるそうです。1本で1ヶ月ほど使えるとのことなので、お得感があります。
強力な除菌効果をもち、目や口に入っても安全なように設計されていて、手指の除菌ができるにも関わらず、まだ購入可能な隠れた売れ筋商品です。
加湿器に入れて部屋全体をウイルス対策「除菌水ジーア」
加湿器に入れて空間の除菌・消臭に活用するのが主な用途なので、1年を通して使用することが前提の、定期購入商品（4週間ごと）です。
清潔なスプレーボトルに入れて使用してもOKです。（スプレーボトルに汚れやゴミがあると分解されてしまうので、ご注意下さい）
先程お話したとおり、次亜塩素酸水は成分が分解されやすいので、「効果が高い状態の商品が常に届く」という安心感がありますね。
万が一、インフルエンザ・ノロウィルス・O-157などのウィルスを家に持ち込んでしまっても、「除菌水ジーア」の濃度の次亜塩素酸水を加湿器から噴霧していると、10秒でウィルスが死滅します。
契約後1年未満の解約は違約金がかかる点に注意が必要ですが、加湿器のプレゼントキャンペーンなどがあり、お得感はあります。
赤ちゃんがいるなどで感染症の予防を徹底したいご家庭なら、検討してみる価値があります！
感染症の流行時や災害時に、次亜塩素酸水はアルコール消毒液よりも多少手に入りやすい場合があります。
ただし世間が混乱している状況に乗じて成分がはっきりしない商品が販売される可能性も考えられるので、ご紹介したような信頼性の高い商品を選ぶようおすすめします！
Amazonや楽天などのネット通販モールで商品を買うときには、必ず価格をチェックするのがおすすめです！
商品が豊富にあるときは価格競争で安く買えますが、商品が品薄になって入手困難な状況になるにつれ、不当に高額な値段で出品をする販売者が必ず現れます。
くれぐれもご注意下さいね。
↓↓↓
エタノールの売り切れはいつまで続く？アルコール消毒液の買える場所
まとめ
アルコール消毒液が買えないときに知っておいて頂きたい、代用品をご紹介してきました。ポイントをまとめてみます！
- アルコールと名前がついている商品の中には、皮膚に使えないものがある
- アルコール消毒液の代わりにするなら、安全性を確保した上で無水エタノールを希釈するのがおすすめ
- 自己判断にはなるが、「バイオエタノール」・「スピリタス」でも代用できる
- 「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム液」は全く違う
- 次亜塩素酸ナトリウム液の希釈液は手指消毒に使えない！物の消毒のみ
- 次亜塩素酸水は皮膚に使えるが分解されやすい点に注意が必要
- 次亜塩素酸水は信頼できる販売元から購入するのがおすすめ
健康や衛生環境を守るために必要なアルコール消毒液が長期間手に入らない状況が続くと、不安とストレスでいっぱいになります。
そんなときには代用品があるのかを考える機転が大切だと、しみじみ感じました。
普段はお掃除に使うと思い込んでいた無水エタノールを詳しく調べると、製造販売元のホームページで安心して活用できる情報を発見できたので、参考になりましたね！
逆に、皮膚に使うと危険なアルコールもありました。
社会の状況が混乱すると、インターネット上にはあいまいな情報が出がちです。
今回は製造販売元や公的機関からの情報を中心に安全性を重視しながら情報をご紹介してきたので、ぜひ活用してみて下さい！
