【監修者:管理栄養士 中山沙折】
お酢(穀物酢)がなくても、原料や製造法が似ている調味料なら代用品に使えますが、調味料によってはすべてのお料理に代用できない場合があります。
お酢を使う目的(酸味、肉を柔らかくするなど)によって、代用できる調味料の種類が異なるため、相性の良い調味料をよく見極めなければいけません。
そこで、手元に穀物酢がない時にどんな調味料を代用品として使うのがいいのか、お料理との相性も気になったので、今回は下記の項目について調査しました。
この記事を読めば、穀物酢と原料が似ている米酢はもちろん、リンゴ酢などの果実酢やポッカレモンなどの柑橘果汁など代わりになるものはたくさんあることがわかります。
それぞれの特徴を踏まえた代用法をご紹介しますので、参考にしてください。
ついつい切らしてしまいがちなすし酢の簡単な作り方やポン酢をお酢の代用として使用できるレシピも紹介しますので、最後までお見逃しなく!
管理栄養士・栄養士
目次
お酢(穀物酢)の代用品12選!リンゴ酢や米酢は代わりになる?
お酢にはさまざまな種類がありますが、今回の記事では家庭でよく使用する穀物酢の代用品をご紹介します。
さっぱりとしたさわやかな酸味やクセのない味わいが特徴で、お料理に酸味を付けたい時や加熱調理に使用してお肉を柔らかくさせたい時など幅広いレシピで使われています。
お酢をうっかり切らしてしまったときは、以下の調味料で代用できます。
醸造酢 | 柑橘の絞り汁 | その他 | ||
---|---|---|---|---|
穀物酢 | 果実酢 | 調味酢 | ||
穀物酢 米酢 黒酢 |
リンゴ酢 ワインビネガー バルサミコ酢 |
すし酢 ポン酢 やさしいお酢 らっきょう酢 |
レモン汁 ポッカレモン |
にがり |
このように、穀物酢の代用品はたくさんありますが、調味料ごとに特徴や酸味が違うので、お酢をどのような役割で使うのかによって代用品を考えてみましょう。
お酢の役割から代用品の調味料候補をピックアップしよう!
お酢には、酸味をつけるだけでなく、調理時に役立つ様々な働きがあります。
- 酸味付け
- 殺菌や防腐効果
- お肉を柔らかくする
- 脂っこさを和らげる
- 減塩効果
- 魚の臭みとり
- 素材の色を鮮やかに保色する
お料理にお酢を使うとさっぱり味になりますが、油分の多い料理に使うとお酢が油の粒子を細かくして、油っぽさを和らげる働きがあると言われています。
ラーメンにお酢を入れるとさっぱり食べられますよね。お酢に含まれる核酸が血糖値の上昇を緩やかにしてくれる効果も期待できます。
また、お酢を使うと塩分を感じやすくなることから減塩効果が期待できます。
使用する際の注意点をそれぞれご紹介しますので、好みやお料理に合わせて代用品を選ぶ際の参考にしてください。
米酢
米酢とは、穀物酢のうち原料の米の使用量が1Lにつき40g以上のものです。(※2)
原料のお米由来のあまい香りが特徴で、お米料理との相性がいいお酢なので、家庭では酢飯を作る際に使うことが多いお酢ですね。
黒酢
黒酢は穀物酢の一種で、玄米を原料に長期間熟成発酵させたお酢です。(※3)
うまみのもとになるアミノ酸が豊富で、黒っぽい色と豊かなコクが特徴的です。
また、独特の香りは若干クセがあるので、お酢の代用品として使うときは香りや色を考慮して使用するといいでしょう。
甘酢あんかけや酢豚などの中華料理と相性がよく、本格的な味わいに仕上がりますよ。
リンゴ酢
リンゴ酢はりんご果汁を原料にした果実酢です。(※4)
フルーティーな香りとさわやかな酸味が特徴で、お料理が洋風の仕上がりになります。
ワインビネガー
ワインビネガーは、ぶどうを原料にした果実酢で、ワインのような豊かな香りが特徴です。
白ワインビネガーはクセがなくさっぱりとした味わいなので、お酢の代用品として様々なお料理に使用できます。
一方、赤ワインビネガーはコクのあるお酢なので、洋風のソースと合わせると相性がいいでしょう。
バルサミコ酢
バルサミコ酢とは、ワインやぶどう果汁を濃縮したものを原料とし、木の樽で熟成させて作られるイタリアの伝統的なお酢です。(※5)
イタリア語でバルサミコとは芳醇を意味し、その名の通り芳醇な香りや独特の甘みが特徴で、黒っぽい色をしています。
代用する際には、香り、色、甘みなどを考慮して、サラダやマリネなどの洋風メニューに使用すると相性がいいでしょう!
すし酢
すし酢はお寿司用の合わせ酢で、米酢に塩、砂糖などが調味されています。(※6)
また、すし酢と同じように代用できるカンタン酢は、すし酢よりも甘め・塩分が少なめで調味されています。(※7)
ポン酢
ポン酢は、柑橘果汁・醸造酢・醤油が1つになっているのでそのままかけても美味しく、さっぱりとした酸味が人気の調味酢です。(※8)
餃子のたれやドレッシング、煮込み料理、アレンジ酢飯など様々な料理に代用できますよ。
やさしいお酢
やさしいお酢は、お酢のツンとした酸味が苦手な方にも食べやすいように作られたやさしい酸味のお酢です。(※9)
かんきつ果汁や食塩、砂糖などが含まれた調味酢なので、お酢の代わりに使う時には調味料の量に気をつけて薄めの味付けにしましょう。
やさしいお酢をそのまま使うと、あっさりした酢の物に仕上がります。
らっきょう酢
らっきょう酢はらっきょうを漬けるのに最適な配合の甘酢です。(※10)
野菜のピクルスを作る時にはそのまま使えますよ。
レモン汁
レモン汁にはクエン酸が豊富に含まれており、お酢と同様にお料理に酸味を加えられます。(※11)
ただし、お酢の酸味とレモン汁の酸味は成分が異なりますので、代用する際には注意が必要です。
お酢の酸味である酢酸はじっくり加熱することで徐々に揮発し、酸味がやわらぎます。(※12)
しかし、レモン汁の酸味のクエン酸は熱に強く、加熱しても酸味が残りやすいのが特徴です。
ポッカレモン
ポッカレモンは保存料無添加の濃縮還元のレモン果汁です。
生のレモン汁とほとんど成分は変わらないので、レモン汁と同様の目的で代用できます。レモンを絞るのが面倒な方でも手軽に使用できますよ。
にがり
にがりは海水から塩をとったあとに残った液体のことです。(※13)
豆腐の凝固剤として使用されることが一般的ですが、にがりの成分のマグネシウムには肉料理をやわらかく仕上げる効果もあります。
このようにお酢にはさまざまな代用品がありましたが、実は代用品に向かない調味料もあります。
みりんはお酢の代用に不向きな理由
お酢と見た目はうすい黄色でよく似ているみりんは、お酢の代用品として使えません。
なぜなら、お酢の風味としての肝心な酸味がなく、調理時のお酢の役割と比べてみても同様の働きは期待できないからです。
米麹の酵素の働きでもち米の成分が分解され、うまみ成分である糖質やアミノ酸が生成されることでみりん特有の風味が形成されます。
また、みりんはアルコール度数が14%前後なので加熱調理に使用し、お料理に上品な甘みやコクをつけたり、テリやツヤをつける役割があります。
みりんはお酢と調味料としての役割や特徴が全く違うので、代用品としては不向きでしょう。
ここまでは穀物酢に代用できる調味料と、代用できない調味料を紹介しましたが、逆にレシピで「すし酢やリンゴ酢が指定されているけど、手元には穀物酢や米酢しかない・・・」という時もありますよね。
すし酢やリンゴ酢の代用としてお酢を使う場合の簡単レシピを紹介します!
お酢で代用できる!すし酢やリンゴ酢の簡単な作り方
すし酢やリンゴ酢の代用としてお酢を使いたい場合に知っておくと便利な簡単レシピを紹介します。
酢飯が簡単に作れる!すし酢の作り方
すし酢がない場合は、お酢に砂糖や塩を加えて自家製すし酢を作りましょう。
隠し味として粉末の昆布だしなどをひとつまみ加えてみると、旨味がプラスされてより美味しくなりますよ。
すし酢に使用するお酢は、お米料理との相性がいい米酢を使うのが一般的ですが、米酢がない場合は、味の好みに合わせて他のお酢でも代用可能です。
- 穀物酢:酸味が強くさわやかな味わい
- リンゴ酢:やや甘めでフルーティな味わい
- 白ワインビネガー:フルーティーな味わい
- 黒酢:褐色でコクのある独特の味わい
- バルサミコ酢:香りや甘みが強く洋風な味わい
味の変化を楽しめるアレンジ酢飯
さっぱりと食べられるレモン汁を使った酢飯をご紹介します。
レモンの香りが爽やかで、お酢のツンとした酸味が苦手な方やお子様にも食べやすく人気があります。
お酢の代わりに #レモン を使ってレモン酢飯の #いなり寿司 。スモークサーモンにも #ポッカレモン100 を少し加えてまぶします。爽やかなレモンの香りが広がり、お子様も食べやすくて、とってもおすすめです。ぜひお試しくださいね。 https://t.co/1Bn7wGCf8r pic.twitter.com/j3hKs7hZkC
— ポッカサッポロフード&ビバレッジ (@pokkasapporo) September 6, 2017
また、ポン酢を使ったちらし寿司もさっぱりとしていておすすめです。
ご飯にお醤油の色がついてしまう欠点はありますが、色味を気にしなければすし酢と同じ要領で混ぜるだけなのでお酢がない時の代用にぴったりですね。
ちらし寿司は昆布ポン酢で酢飯を作るのおすすめ!酢の分量は失敗しないし激ウマなんだもの
【ウラ技簡単レシピ】ちらし寿司の酢飯を「昆布ぽん酢」で作ると激ウマに♪ 昆布だしが素材の美味しさを引き立ててくれます https://t.co/FQUDaKtxOT @youpouchさんから pic.twitter.com/iYj3MICFnK
— 百村モモ@Pouch育休中🦘 (@momomuradesuyo) November 2, 2017
すし酢がなくても、いろんなお酢などで代用できることがわかりました。
続いて、飲むお酢としても人気があるリンゴ酢の代用品をご紹介します。
リンゴ酢の簡単な作り方と代用品
リンゴ酢は、りんごを原料にしたお酢で、フルーティーな香りが特徴の果実酢なので、お酢・氷砂糖・りんごを使って手軽に作れますよ。
【自家製リンゴ酢の作り方】リンゴ:100グラム/氷砂糖または黒糖:100グラム/酢:200ミリリットリ(好みの酢でぉk)を用意、リンゴはよく洗い、水気を切ってから8等分にして芯を除いて『皮ごと』イチョウ切りに→耐熱性の瓶に氷砂糖(黒糖)と切ったリンゴと酢を入れる→
— ひきこ@美味しく食べて痩せる✨ (@0Hikiko0) February 22, 2013
また、やさしい酸味や甘い香りが特徴で、サラダやマリネに使用したり、デザートに使うことも多いお酢なので、風味が似ている米酢や白ワインビネガーで代用するのもいいでしょう。
リンゴ酢は調理用だけでなく、飲料用としてはちみつなどの糖分が添加されたそのまま飲めるタイプのものもあるので、目的に合わせて活用してみてはいかがでしょうか?
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
結論|お酢がなくても代用できるものがある
お酢がなくても代用できる調味料はたくさんありますが、調味料の特徴を見極めてお料理に合った代用品を選ぶことが重要です。
例えば、原料や製造法が近い米酢はそのまま代用品として使えますが、リンゴ酢などの果実酢は香りがフルーティーなので、洋食の料理に代用すると相性がいいでしょう。
レモン汁を代用品とするときは、お酢と酸味の成分が違うので加熱しない料理がおすすめです。
また、砂糖や塩が調味されている甘酢も、味付けを薄めにするなど工夫をすると代用できることがわかりました。
お酢を切らしてしまった時の代用品を選ぶ際に、参考にしてください。
参考資料
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※1 穀物酢|ミツカン
※2 お酢の分類|ミツカン
※3 酢にもいろいろあるの?|JAグループ 福岡
※4 リンゴ酢|ミツカン
※5 バルサミコ酢とはどのようなお酢ですか?|ミツカン
※6 すし酢|ミツカン
※7 カンタン酢|ミツカン
※8 味ぽん|ミツカン
※9 やさしいお酢|ミツカン
※10 らっきょう酢|ミツカン
※11 クエン酸とは?酸っぱいパワーを活用しよう|グリコ
※12 お酢を加熱するとどうなりますか?|ミツカン
※13 にがりの豆知識|佐渡海洋物産株式会社
※14 本みりんとは|キング醸造株式会社
※15 これが黄金比!簡単【すし酢&酢飯】の作り方|おこめひろば
※16 お酢と調理|タマノイ酢株式会社
※16 お酢のできるまで|ミツカン