【監修者:管理栄養士 山田美穂】
インスタントコーヒーにカビのような白いものが付いても、カフェインが結晶化しているだけで体に害なく飲める場合が多いです。
しかし、黒く固まったり青カビが生えたりした場合は、風味が落ちるだけでなく体に悪影響がある可能性が高いため注意しなければなりません。
インスタントコーヒーは飲む頻度が少ないと開封後もそのまま放置されていることもあり、いざ飲もうとして変化に戸惑うことも…。
カビ臭いと感じるときなどに、飲んだらダメな場合の見分け方がわかるように、次の項目をご紹介します。
この記事を読むとインスタントコーヒーの正しい保存方法がわかり、カビや湿気で固まるなどの劣化を避けられるようになりますよ。
「インスタントコーヒーにカビが生えた!」と思っても、飲んでも大丈夫なことが多いので、悩んだときはぜひこの記事を活用してください。
管理栄養士・栄養士
目次
インスタントコーヒーにカビっぽいものが?飲めるかどうかの見分け方
インスタントコーヒーに白いカビのようなものが付いても、コーヒーに含まれるカフェインが結晶化して粉の表面に出てきているだけで、問題なく飲める場合が多いです。
しかしインスタントコーヒーが黒く固まるほか、表面に白いもの以外に青・緑のものが見えるときは、湿気を吸い有害なカビが発生している可能性も考えられます。
インスタントコーヒーの見た目にカビっぽい変化が起きても悩まないように、飲めるかどうかの見分け方を知っておきたいですね。
まずは飲める場合が多い、白いカビのようなものの正体について解説します。
白いカビのようなものはカフェインの結晶
インスタントコーヒーにカビのような白いものが付いただけなら、カビではなくカフェインが出てきたものと考えられ、体に無害なため飲んでも大丈夫です。(※1)
インスタントコーヒーの瓶を久しぶりに手に取ると、中身に白い蜘蛛の巣のようなカビっぽい糸状のものが付いていて、飲んで良いのか迷うという口コミが多くあります。
インスタントコーヒーがカビてた?んでググってみたらカフェインが結晶化したとかなんとか?
繊維感が伝わるようにわざわざ接写リングつけて撮ったった pic.twitter.com/z4cvYGX4RS
— ☺︎ (@Kaimaru_G) September 27, 2018
インスタントコーヒーはたとえ未開封でも高温多湿な場所に置くと、こちらのようにカフェインが結晶化することがあります。
このとき固まった部分があっても、瓶ごと振ってみてサラッとした状態に戻れば問題なく飲めますが、固まった状態のままなら風味も落ちているので飲まない方が良いです。
インスタントコーヒーが固まるだけでなく黒く変色している場合は、湿気を多く吸ってカビも生えやすいので飲まないようにしましょう。
黒や褐色に変色して固まっていたら飲めない
インスタントコーヒーが黒色や褐色、紫色などの濃い色に変色して固まったら、湿気や水分を多く吸っているため飲まない方が良い状態です。(※2)
インスタントコーヒーは生豆を焙煎し炭化させる間に味・香り・色を付け、粉砕・ドリップしたコーヒー液を乾燥させたものなので、湿気や水分を多量に吸うと黒っぽくなります。
湿気や水分は、インスタントコーヒーの粉が固まるだけでなくカビや雑菌が繁殖する原因にもなるため、特に黒っぽく変色している場合は飲まない方が良いです。
次の口コミのように、インスタントコーヒーは黒くなるだけでなく、カビのような白いものが付いて灰色になる場合もあります。
インスタントコーヒー、カビるのかな……(半年近く開けてなくて灰色の塊と化した) pic.twitter.com/EGV2zxJ4t5
— 伊鳥 そがら@行政書士取ruぞ (@it20ne) October 9, 2020
この場合は、黒く固まったところにカフェインが出てきたとも考えられますが、水分を多く吸収しているので、白いカビが発生した可能性もあります。
以上のようにインスタントコーヒーがカビっぽいときには、問題なく飲める場合と飲まない方が良い場合がありますが、明らかに飲めない場合もあります。
表面に青や緑色のものが見えたら、体に害のある青カビ(ペニシリウム)が生えている可能性が高いので飲めません。
青や緑色が見えるとカビの可能性が高く飲めない
インスタントコーヒーに白いものが付いたり固まったりしていて、よく見ると青や緑色の部分がある場合は青カビの発生が疑われ、有害なため飲めません。
インスタントコーヒーは乾燥度が高く、カビが生える心配はなしとされていますが、保存状態や開閉時などの扱い方によっては発生する可能性もあります。
昨日青い苔になったインスタントコーヒー見つけちゃってわあインスタントコーヒーってカビ生えるんだあって衝撃的だったぞい
— 巨根人妻 (@lein_mana) July 7, 2016
こちらのような場合は、青カビが生えていることが疑われるので処分しましょう。
インスタントコーヒーはたとえ一部分のみが青い場合やカビ臭い程度であっても、瓶の中は不衛生な状態なので、中身は全て処分する方が良いでしょう。
もしインスタントコーヒーの青カビが生えたものを飲んだとしても、少量なら食中毒のようにすぐに悪影響が現れることはないため慌てなくても大丈夫です。
収穫したコーヒー豆に青カビや白カビが生えることもありますが、日本国内で栽培および輸入されたコーヒー豆やインスタントコーヒーは安全性がきちんと確認されているので、過剰に心配しなくても大丈夫です。(※4)
ただしどうしても気になる場合は、話題の「カビなしコーヒー豆」や品質管理が徹底されている証拠である有機JAS認定マーク付きのインスタントコーヒーを選ぶのもいいかもしれませんね。 (※5)
以上のようにインスタントコーヒーはカビが生えるほか腐ることもあるので、飲めるかどうかを見分けるポイントをおさえておきましょう。
インスタントコーヒーはカビ以外に腐るとどうなる?鮮度の見分け方
インスタントコーヒーはカビが生えるほかにも、腐って粘り気のある汁やいつもとは違う臭いが発生することがあります。
腐ったインスタントコーヒーを飲むと、細菌性食中毒を起こす心配もあるため要注意です。
インスタントコーヒーにカビが生える以外の異変があるときの、飲めるかどうかの鮮度の見分け方も知っておきましょう。
まずは明らかに飲んではいけない、腐った状態について解説しますね。
変色・異臭があり瓶底に汁気がある場合は飲むと危険!
インスタントコーヒーは腐ると、カビや細菌に栄養成分を分解されて本来の風味や香りを失うだけでなく、食中毒の原因になることもあるため飲むと危険です。
新鮮なインスタントコーヒーは、炭水化物やタンパク質、クロロゲン酸などのポリフェノールを含み、新鮮なほど香りが強く、粉がサラッとしています。(※6)
しかし水分や高温、雑菌の繁殖などの悪条件が揃えば、腐って以下のような状態になることもあります。
- 変色
- 瓶底に汁気
- いつもとは違う臭い
このような明らかに飲めない状態ではなく、徐々に湿気を吸って固まりができた程度のインスタントコーヒーは、変色してなければ飲める場合が多いです。
固まりができても振って戻るなら飲める!
インスタントコーヒーが固まると香りや風味は落ちていますが、変色がない場合は、瓶を振ってサラッとなれば飲んでも問題ありません。(※8)
インスタントコーヒーの水分はわずか3%前後ですが、開閉時や濡れたスプーンなどが原因で湿気を多く含むと固まります。(※9)
また変色がなく、インスタントコーヒーの粉表面が連なったような状態は、カフェインが結晶化しているだけなので飲んでも大丈夫です。
このように鮮度が落ちても飲める場合がある一方で、開封したばかりで臭いに異変を感じることもあります。
カビ臭くても開封したてなら飲める
賞味期限内で開封したてのインスタントコーヒーがカビ臭いと感じる場合は、原料である輸入コーヒー豆の特性によるものかもしれません。
輸入コーヒー豆には収穫から1年以内のニュークロップ、1年経過したパーストクロップ、2年以上経過したオールドクロップの3タイプがあります。(※10)
インスタントコーヒーの原料に、カビ臭さや枯草のような風味が出ると言われるオールドクロップを使っていると、賞味期限内で未開封でもカビ臭いと感じる可能性があります。
以上のように、インスタントコーヒーは異変があっても飲める場合もありますが、鮮度が落ちて劣化が進むと香りも風味もなくなり、おいしく飲めません。
カビが生えたり腐ったりしたインスタントコーヒーを飲むと健康を害する恐れもあるので、鮮度を保てるように正しい保存方法を実践しましょう!
インスタントコーヒーのカビや変色を防ぐ正しい保存方法のポイント
インスタントコーヒーのカビや変色を防ぐには、しっかり密閉することと水分・温度の管理が大切です。
インスタントコーヒーをおいしく飲み切るために、鮮度を保ちカビ対策ができる正しい保存方法をご紹介します!
まずは劣化の原因になりやすい水分・温度の対策から解説しますね。
冷蔵庫はNG!水分を瓶に入れない・発生させない
インスタントコーヒーは直射日光の当たらないできるだけ涼しい場所で常温保存し、水滴などの水気が入らないようにすることが、カビを防ぎ鮮度を保つコツです。
カビの成育に必要な多湿・高温・酸素の3つの条件をそろわせない(※11)
インスタントコーヒーには劣化や腐敗を防ぐため「高温多湿を避け冷暗所で保存」などの表示がありますが、冷蔵庫・冷凍庫内での保存はNGです!
冷蔵庫や冷凍庫に保存すると、室内に出したときにインスタントコーヒーの瓶と室温との温度差から結露し、内側に発生した水滴を吸収して固まる原因になります。(※12)
またコーヒーを飲むときにも、瓶の中に水分が入らないように注意することが重要です。
インスタントコーヒーの鮮度を保つには、瓶に水分を入れない・発生させないよう気を付けながら、容器の密閉性を高めることも大切です。
密閉して空気に触れさせない
開封後のインスタントコーヒーは密閉性の高い容器で保存し、空気に触れさせないようにしましょう。
インスタントコーヒーは瓶入りの商品が多く未開封の状態では密閉されていますが、開封後はフタを開ける度に空気に触れ、空気中の湿気を吸います。
開閉時以外の保管時にはしっかりフタが閉まった密閉状態を保つことが酸化や劣化を防ぐ大切なポイントです。(※13)
袋入りの商品を購入する場合は、密閉できるキャニスターに入れて保存する方法もおすすめです。
インスタントコーヒーは開封後も正しく保存すればカビの発生や腐敗は防げますが、保存期間が長くなると風味や香りが失われるため、賞味期限に関わらず1ヶ月以内に飲み切るようにしましょう。(※15)
飲む量に合わせ、1ヶ月で消費できるサイズを購入するのがおすすめです。
賞味期限についてはこちらを参考にしてください。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
結論|インスタントコーヒーは風味を保つように保存しよう
インスタントコーヒーを久しぶりに飲もうとしたら、カビっぽく見えたり固まって変色していたりして飲んでいいのか迷うことがあります。
そんなとき、飲めるかどうかの見分け方を知っていると便利です。
インスタントコーヒーは表面に白いものが現れてもカフェインが結晶化した場合が多く、振ってみて粒がサラッとしていれば問題なく飲めます。
黒っぽく変色したり青・緑色のカビが生えたりすると、残念ですがもう飲めません。
インスタントコーヒーは最後まで風味を楽しめるよう、密封して正しく保存しましょうね。
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 「インスタントコーヒーの粉表面にクモの巣か白いカビのようなものが見えます。」|UCC上島珈琲株式会社
※2 「インスタントコーヒーのコーヒー粉が変色(黒色・焦げ茶色)していますが大丈夫でしょうか?」|UCC上島珈琲株式会社
※3 【食品安全FAQ】カビの生えた饅頭を食べてしまいました。食中毒が心配です。|東京都福祉保健局
※4 「カビ無しコーヒー豆」と称する製品に関しての見解|全日本コーヒー公正取引協議会
※5 有機食品の検査認証制度について |農林水産省食料産業局
※6 コーヒー図書館・コーヒーの成分|全日本コーヒー協会
※7 食べ物の腐敗と食中毒|株式会社ウエノフードテクノ
※8 【安全性】開封したインスタントコーヒーの粉が少し固まっていますが飲めますか。|味の素AGF株式会社
※9 食品成分データベース・し好飲料類/コーヒー/インスタントコーヒー|文部科学省
※10 豆の選別|caffe Verdi
※11 カビ対策|サラヤ株式会社
※12 「インスタントコーヒーは冷蔵庫・冷凍庫に保存した方がよいですか?」|UCC上島珈琲株式会社
※13 食品の酸化防止講座|太陽化学株式会社
※14 「瓶の天面に貼られている紙のラベルは、全部剥がした方がよいですか?」|UCC上島珈琲株式会社
※15 よくいただくご質問(Q&A)- インスタントコーヒー|KEY COFFEE